私はそう言って、片桐くんの手を振り払った。

そしてそのまま、片桐くんが見えない所までダッシュで走る。


「はっ、は…っ」

「あ、美羽ちゃんじゃん!…て、どうしたの!?」


南条先輩がヒョコリと壁際から顔を覗かせて、私に近付いてきた。

だが私が泣いていることに気がついたのか、険しい顔つきで私に近付いてきた。


「何か、あった?」

「わた…し…っ」


泣いちゃった。泣いちゃったんだ…私。


「私といると、疲れ…ますよね」

「美羽ちゃん?」

「昨日、片桐くんと先輩が話してるの聞いちゃって…それで…っ」


言葉を発するたびに、涙がとめどなく湧き出てくる。