―――季節は春。 『お疲れ様でしたあ!!』 そんな声が、剣道場から歓声のように聞こえてきた。 この声を合図に、私、橘 美羽(タチバナ ミウ)は始動する。 「かったぎっりくーん!!」 そんなことを叫びながら、剣道場の扉をガララー!と開けた。 剣道部員たちは驚くかと思いきや、ほぼ呆れ顔で私を見る。 だが、そんなことに動じる私ではない。 「すいませーん!!愛しの旦那様いますかあ??」 「橘!!なにが愛しの旦那様だっ!?」