歩き出した瞬間に、片桐くんはそう言った。

私はチョコチョコと歩きながら、片桐くんの後をついて行く。


「ねえねえ、どこでも行っていいの??」

「まあ、あんまり変な所じゃなかったら…」

「じ、じゃあ行きたいとこある!片桐くんと、一回でも良いから行ってみたかったんだ!!」


そう言って、片桐くんの腕を掴んでグイグイ引っ張る。


「おい、そんなに急がなくても…まだ時間はあるし」

「やだやだやだ!早く行きたいの!!」


だだをこねる子供…と言うか、まさにそのものなのだが、ヤダヤダとひたすら連呼する。


「で、橘はどこに行きたいんだよ?」

「えへへ!それはね―――…」