14怪談

アパートに向かう途中、直子が不意に僕の額に手を当てた。


一筋の血が、直子の手をつたい、雫となって地面に染みる。


どうやら窓硝子を突き破った時に頭を切ったようだ。



直子は小さく呟いた。



「血がでてる・・・・痛そう」

「お前が言うな」



どの口が言ってんだ。

目は潰れ、舌は切り取られ、唇はホッチキスで裂けて血を垂れ流すお前の方が、よっぽど痛そうだ。

・・・。


今も彼女は血が出ないようにと、自分のワンピースの裾をちぎり、僕の傷口をそっと押さえている





・・・・。



彼女は本当に無残に殺された。

それは見れば一目瞭然だ。


なのにどうして・・。


どうしてそこまで傷つけられたのに、他人を思いやることが出来るんだよ。