14怪談

任せろ。




助けてやる。





近くにいた男から、水の入ったバケツを頭からかぶり、ハンカチを口元に当てて、燃えさかる火の海と化した家の扉を勢いよく開けた。





火災で一番怖いのは煙である。





煙を吸わないように腰をかがめ、耳を研ぎ澄まし、赤ん坊の位置を確認すると、どうやら上の階で泣いているようだ。






階段の火の手がすさまじく、まともな精神ではとても突入できるような状態ではなかった。





だが僕は笑う。






これならばさっきのアパートの階段の方がよっぽど怖い。