〈side陵〉 「来てくれてありがとう。」 無駄に高くて甘ったるい声が、俺の頭に響く。 誰だっけ、こいつ…。 あぁ、確か舞が「春ちゃん」って言ってた気がする。 とにかく、そんな名前も覚えてないような奴に、俺は今の放課後、呼び出されていた。 『どういたしまして。』 俺は偽りの笑顔を作りながら、春ちゃんとか言う奴に微笑みかけた。 そんな俺の笑顔に、頬を染める春ちゃんを後目でチラッと見ながら、俺は心のなかでため息をついた。