「じゃあ、俺、家に帰るわ。」 突然、アイツの指から頬が解放された。 帰ると言う単語に反応して、慌てて周りを見渡す。 …全然気づかなかったけど…。 もう、家の前まで来てたんだ…。 『もう帰るの??』 「そうだけど悪い??」 『別に…。』 まだ一緒にいたい。 そんな言葉が奥から出そうになったけど、口を結んだ。 そんなの、素直にあたしが言えるわけがない。