アイツ、か…。 アイツの顔が瞼の裏に再現される。 えらそうな態度。 いじわるな行為。 だけど、他の人には王子様で。 そんなアイツが嫌いだったはずなのに。 あたしの心はあの頃から随分変わってきていた。 アイツのことは嫌いじゃない。 どちらかというと、好き。 でも、 それは恋愛感情とかじゃなくて。 幼なじみとしてだから。 ――そう自分に言い聞かせるように、 あたしは次の時間の準備に取りかかった。