きゅん。 胸が高まる。 ――それを、あたしは気づかないフリをした。 …知らない。 アイツのそんな優しい笑顔なんて。 知らないもん。 アイツがあたしを見る眼差しが、こんなに優しいものなんて。 あたしはどうしたらいいかわからなくて、ただただ顔を赤くすることしかできなかった。 本当は、この時からあたしの気持ちは決まっていたのかもしれない。 でも、不器用なあたしは感情を露わにすることなんてできなくて。 これがアイツとの最後の登下校になるなんて、思ってもいなかったんだ。