約束通り、シオ──ノアは、レイとヒオウを度々ドームの外に連れ出してくれた。
 
砂埃が舞い、太陽の光も突き刺さるように痛い。

オゾン層が破壊されているため紫外線が強く、帽子や外套は欠かせない。

僅かに残る放射能の影響が出ないよう、外出した後は必ずシャワーを浴びなければならない。こうすることで、浴びた放射能が洗い流されるのだという。

 
決して、生物に優しい環境ではない。
 
だが……。
 
レイには、全てが暖かく感じられていた。
 
少なくとも……ドームにいた頃よりはよほど「生」を感じていた。

 
恵まれているとは言えないこの場所で、皆、生き生きしていた。そんな輝く人々を見ていると心が癒されるのだった。

 
人々を眺めた後に訪れるのは、決まって植物園。
 
レイの母が作ったという緑に溢れたこの施設…。
 
日の光を浴びて輝く緑。サラサラと心地よい音を響かせる水の流れ。静かに息をし、それらを感じ取った。
 
寝転んで何時間もそこにいた。
 
何度もそうしているうちに……何か、分かったような気がした。
 
今、自分は何をすべきなのか。
 
何が出来るのかを…。