引き寄せられた腕の中は、外の空気のせいか少し冷たくて、どちらのものか分からない心臓の音が雨音に掻き消されないようにドラムを叩く。
「全部俺のものにしていい?」
だから、その低くて甘い声があたしを駆け抜けるのに麻痺してしまって、熱い視線と、回された腕に、飽和した感覚が馬鹿みたいに目の前の綺麗な男の人に釘付けになる。
そう、忘れてました。
久しぶりの再会と、このシュチュエーションに飲まれてしまって、
「拒否権はねーけどな」
悪魔のように笑うどす黒い声、獲物を見つけたような妖しい瞳。生気を取り戻したかのような眩し過ぎる美形限定キラキラオーラ。
ええ、忘れてたんです
この人が『変態』という大切なことを。
とりあえず、誰かあたしにサングラスを下さい。
Fin

