優一くんが作ってくれたパエリアを囲みながらの夕食。
「おいしい! すご~い!」
ああ、いろんな具が入って、そっからおいしいおダシがでている料理って大好き…しあわせ~…。
「ちょと作りすぎちゃったな…サラダもおかわりあるから、どんどん食べてね」
「は~い」
うう、おいひい…こんなの毎日食べられるお姉さんは幸せだなぁ…。
「ゆうくんってば、女の子が来るからってはりきっちゃって~。もう、一週間も前から今日のことでそわそわしっぱなしだったのよ~」
ワインを飲みながら、ほろ酔い気味の美和さんが言う。
「え…そうなんですか?」
「…いっつも二人分しか作らないから、いろいろ分量とか、あるしね。桜木さんがどんなの好きかとか、よくわかんないし」
意外…優一くんいつもおちついているから、そんなにいろいろ考えてくれてるなんて知らなかった…。
「ひなちゃん…どう? 料理上手の男って?」
「え?! どうっ…って…?」
ムール貝をほじっていた手が一瞬止まった…そりゃ…まぁ…ステキです。
「いーい? 陽菜ちゃん。異性のために冷蔵庫を開けるってのは、あとでお前の股を開くぞっていう意思表示なのよ。いい? 男の家にいったら女はそこの冷蔵庫を開くの。ハートをつかまえて逃げられても、一度胃袋をつかまえたら、なかなか離れられないものなのよ」
…えーと…なんて返事をしたらよいのやら…。えへへへへ。
「ミィねぇ、へんなこと吹き込むなよ。だいいちこうやって“ねえさん御用達”の料理人に仕立て上げたの、自分じゃないか」
「ふふん、食事も性も、大事なのは“色気”よ」
「これだから生身の女って…」
ねっとりした視線を弟に送る姉。そしてそれをうけながす弟。
なんか…優一くんが二次元の女性に走っちゃうのもわかる気がする…。
「陽菜ちゃんの肌も…おいしそう…」
おおうっ! 食べてもおいしくありませんからっ!