やだ、なんか、恥ずかし…え、と、あ…!




ふわふわと、わたしの鼻に桜の香りが舞う。それに気づいたら、急に話したくなっちゃった。




「あ! 優一くん知ってる? 桜の花って実は香りが少ないんだよ。桜のフレグランスとか入浴剤は、実物の桜の花を使ってるんじゃなくて桜の香りのイメージに似せて作ってるんだって! すごいよね~。みんなが、桜に対してピンク色とか、かわいい形とか、癒しのイメージをもってて、それらを付け加えることで、そのものをより本物らしく、生き生きとさせることができる…そういう感覚って、すごくすてきだとおもう!




…だからアニメや映像に、より命を与えられる、声優さんもすごいよね!」




ふふっと、やさしそうに優一くんが笑う。ん?! 想いが伝わった?! わたしのキラキラが、伝わったかな?!




「より生き生きと、本物らしく、か…。




えーと…とりあえず、そうだ、自己紹介でいいから、ケータイで声を録音して送ってよ。それを聴いてぼくが感じたことを桜木さんに言うから。自分の声を客観的に聴くこと。まずはそこからかな」




「うん、わかった! じゃあ、あらためて…優一くん、よろしくおねがいします!!」




わたしがさしのべた手を、優一くんは笑ってキュッとにぎってくれた。




ペコリと頭を下げたとき、本当にうれしくて、涙がこぼれおちた。




なんだか感激しすぎて、バカみたいだけどね。






このときのうれしかった気持ち




絶対忘れないよ




今までも




これからも




ずっと




ずっと