「おそいな…桜木さん」 ケータイをとりだし、彼女に電話する。 しかし単調でつまらないコール音がなったあと、事務的な女性の声の留守電になるだけだった。 しかなたくぼくはおとといメールでもらった彼女の音声ファイルをまた聞くことにした。 ヘッドフォンを耳にはめ、彼女の世界に入りこむ。高校生のころよくやった。 自分を彼女の中に、沈め込む。 耳の奥から自分がすいこまれるような感覚のあと、つづいて彼女の声がぼくの頭の中いっぱいにあふれていく。