「え…エリカの彼氏って、あの…他校の高校生でしょ…? そいつの子なの?」




「エリカさんもうとっくにその人とは別れてますよ。一時期その彼とケンカしたらしくて、年上のサラリーマンの男性ともつきあってて、その時できたみたいなんです。で、その二人の間でもめて、エリカさんちょっと鬱はいちゃって…そのころ学校に来ててもかなり不安定でしたよ。でもそのころ陽菜さん…いろいろ忙しそうで、結局まわりにあまり相談できなくて、それで発覚したときにはもう、一人で生んで育てるって…けっきょくそのサラリーマンの彼といっしょになって、育てることになったんですけど…学校は先生たちががやんわりと圧力かけたらしくて…けっきょくやめさせられたんです」




「…」




ぜんぜん…なんにも…。




しらなかった…。




蓮也さんと、自分のことばかりで…。




ぺったりと、わたしはその場にすわりこんだ。




足に力が入らない。




わからない…。




「だいじょうぶ、陽菜さん?」




ありさちゃんが心配そうにのぞきこむ。




なんで…なんで今もやさしいの…ありさは…?




「ちょっと…ほんとにだいじょうぶ?!」




ありさちゃんは…なんでわたしといっしょにいてくれるの…? 優一くんも…エリカも…蓮也さんも…みんなわたしのもとを離れていったのに…。