「やっと…お昼休憩…」




時間はもう午後三時。早朝からずっと続いた撮影も、まだまだ終わりそうにない。




そりゃそうだよね。なんせワンカットだし、その場のアドリブで踊りも変えたりとかしてるみたいだし、途中のやり直しでグラウンドまで たどりつけないこともしょっちゅうだ。蓮也さんたいへんだなぁ〜。




わたしたちは彼がたどり着くことを信じて、ずっとグラウンドで待機している。ちゃんと緊張感を維持したまま。これもすっごく疲れる。




お弁当も食べ終わって、ちょっと校内をぶらぶらしていたら…。




イターっ!!!




蓮也さんいた! 廊下の先で、誰かとお話ししてる! 蓮也さんも休憩中かな?




「れっ…」




っと、あぶない! 名前呼びそうになっちゃった。それにしてもすっごい真面目な顔して、話してる。仕事中の真剣な顔、ナマで見たのはじめてかも…あの瞳…なんかドキッとしちゃう。ちょっと近よりがたい感じがするけど…でも…でも、カッコいい~。




いつもの感じで彼にふらふら~っと吸い寄せられていったら、「あ、コラッ、こっち来ちゃダメだよ」ってスタッフさんに怒られた。




その声に、蓮也さんこっち見たら、目と目が合っちゃった!!




うは!!




ウインクされた!!




キャーッ!! もう、もう、倒れるーっ!!!




「監督、この子ですよ」



いつのまにやら蓮也さんがササッとそばまでよってきて、わたしの目の前に立った。ドキドキする…ドキドキするよ、蓮也さん。




「ああ、ハイハイ、この子がキミの彼女か」