「むかしさ…」
三人で歩いていると蓮也さんが話しだした。
「昔…オレがまだ小学生だったころ親父にこづかいもらって、ここに来てはじめて射撃ゲームをやってさ。それでまったく落ちなかったんだよね。全然当たんないの。で、そこでオレが泣きそうになってたら…昔のオレ、すっごい泣き虫だったから…そのお店の女性が、残念だったねってあめ玉くれたんだ」
へぇ~、意外…蓮也さん、子供のころ泣き虫だったんだ。まあ、クールな子供ってなんか苦手かも。あ〜、子供のころの蓮也さんもかっこよかったんだろうな~。
「…で、その人に今度はいい所見せようと思って、練習したんだよ。次こそはって、はりきって」
「え?! 次って…また次のお祭りのために? だって一年に一回でしょ、このお祭り」
「そう、しかもまた会えるかどうかなんてわかんないのに。なのに、すげーはりきってた、オレ」
「あ…わかった。そのひと、蓮也さんの初恋の人だ」
「ふっ…よくわかったな。顔は全然おぼえてないんだけど、優しそうな人だってのはおぼえてる」
ガーン。当たっちゃったよぅ。