「わたし、弟がいるからいっつもお姉さんぶっちゃって、ちゃんと片づけなさい! とか言ってるから、こうやってベッドの上で食べ散らかすとか、全然できないんだあ〜。だから、今すっごい楽しい~」




ゴロ~んって転がって、凛ちゃんに、ヒシっと抱きつく。




「うひゃぁ~、なんだよぉ~、陽菜はなれろよ~」




とかいいながら、凛ちゃんすっごく楽しそう。




うう、かわいいなぁ。ギュゥ~っと、しちゃう!




こうしてちゃんと凛ちゃんときちんと向かい合ったら、さわがしくて、わがままで、さびしがりやで、かわいくて、普通に「女の子」だった。




そして二人の家族のことも…聞いちゃった。




「わたしが六歳のころ…お母さんと一緒に、会わせられたんだ。新しいお父さんと、お兄ちゃんですよ、って。その頃はもうお兄様はお仕事はじめてたんだけど…まだ荒々しい、っていうのかな、ちょっとこわかった。でも、お兄様のお父さん、ホントに酒癖がひどくて…ううん、けっきょく、わたしのお母さんと、わたしと、お兄様の三人で暮らすことになった。今はお兄様の仕事の関係でお母さんと離れて二人でこっちにすんでるけど、ちょくちょくお母さんには会いにいくよ」




その蓮也さんのお父様と、蓮也さんとの仲は今どうなっているのかとか、ちょっと気になったけど、そこまで勝手に聞くのもあれかなと思ってそのときは聞かなかった。少しでも蓮也さんのことを知れたから、それでもう十分。




どんどんわたしのなかで、蓮也さんが積もっていく。




それが、うれしい。