「朝食を取りながらで結構ですので、本日の予定を聞いてください」

「え~? そんな消化に悪い。車ん中で聞くからいいだろう?」

「車の中ではより詳細なことをお伝えします。今から言うのは今日の予定の大雑把なことだけです」

「ぶ~」

文句を言うのはいつものこと。

俺は気にせず、手帳に書き込んだ予定を読み上げる。

20時頃の予定を言っている時に、彼の顔色が悪いことに気付いた。

「どうしました?」

「『どうしました?』じゃないだろ! 何だその殺人スケジュール!」

「死にませんよ。代わりに明日は午前中、半休を取ってあるんですから」

あっさり言い返し、空になった皿を片付け始めた。

「ううっ! アメとムチを使い分けやがって」

「それが秘書というものです」

皿の代わりにコーヒーカップを置く。

「5分で飲み終えてくださいね。俺は片付けと用意をしときますから」

「へーい」