「…名前、華楠だっけ。」
『はい、華楠です。』
「…未来って呼んでも良いよ。」
照れ臭そうに目を反らしながら言った未来に、華楠は心を射ぬかれる。
『み、未来ちゃんって呼ばせてもらいます!』
「…未来で良いのに。
そこ、座っていいよ。」
『あ、失礼します。』
未来に言われ椅子に腰掛ける華楠。
未来は少し楽しそうな顔で華楠に話し掛ける。
「ここね、広いでしょ?
お父さんが経営してるから特別室だって。」
未来は無駄に広く、豪華な病室を見渡して言う。
華楠も釣られるように病室を見、呟いた。
『…こんなに広いと、寂しいですね。』
「…え?」
『あ、文句とかじゃなくって。
ただ、同室の人もいないのに広いと寂しいかな、と…。』
華楠の言葉に、未来は少し固まった後、ポロッと涙を零した。
『みっ、未来ちゃん…!?』

