「…あの。」
『はい?』
海が出て行った後、ただ立ち尽くしていた華楠に未来が俯き気味になりながら話し掛けた。
「…私、お兄ちゃんと仲良くないですから。」
『…は?』
いきなりの未来の発言に驚く華楠はキョトンと首を傾げた。
「だ、だから!
私にお兄ちゃんとの事を言われても何も出来ないって言ってるんです!」
『は、話が見えないんですが…』
興奮しだした未来に華楠は落ち着いて、と諭す。
が、未来はガンッと机を叩いた。
「もう嫌っ!
どうせ貴方もお兄ちゃんが好きだから私に仲を取り持ってって言いに来たんでしょ!?
そのために私と仲良く……っ!」
未来はハッとしたように喉を押さえ、ヒューヒューと苦しそうに息を洩らした。
華楠もそれに気付き、直ぐに寄り添い背中を撫でる。
未来は震える手で物置の方を指差した。
華楠はすぐに物置に近づき、物置の上にあったスプレーのようなものを未来に渡した。
未来はそれを口に当て、直ぐに吸い込む。
華楠はずっと背中を撫でていた。

