「さ、入るよ〜。」
ノックもせず、ガラッと病室を開けて中に入る海。
華楠も失礼します、と頭を下げて足を踏み入れた。
「未来、元気だったか?
今日は友達連れてきたぞ!」
「お兄ちゃん!
あ、こんにちは…。」
『こんにちは。』
海が来て僅かに顔を綻ばせたものの、華楠を見つけて顔が強ばった。
華楠は表情には…言い換えるとその場の空気には敏感なため、少し海に近寄った。
『…あの、花とかなくて大丈夫でしたか?』
「あー、花はいつでもあるから必要なし?
慧のデザートだけで十分。」
困ったように眉を曲げながらヘラッと笑う海。
華楠は不満顔ながらもベットの頭にある綺麗な花を見て、頷いた。
「未来、この人は結城 華楠。
俺の後輩の子だよ。
結城ちゃん、こいつが妹の未来。」
「…初めまして。」
『初めまして、華楠です。』
未来は中学二年ぐらいだろうか?
華楠は子供なのに無理に大人びたその顔に、何故か昔の自分を思い出した。
「…俺、先生と話してくるからちょっと二人で話してて!」
海は華楠の止める声も聞かず、病室を出ていってしまった。

