翔が腕に巻かれたハンカチに手を添え、ぼおっとしていると、一人の男が慌てて走ってきた。


「あ、翔!?
どうしたんだよその腕!」


その男は、海だった。


「あ?
何でもねぇよ。」


翔は海に気付き視線をやったが、すぐに目を逸らしてしまう。
海が腕の心配をしていると、その後ろから三人の男がゆっくりと現われた。


「そのハンカチ…」

「女物みたいだね。
珍しい、女を近付けたの?」

「…」


上から順に馨、帝、慧だった。
慧は先程の事もあってか口を開かない。

どうやら、この五人で待ち合わせをしていたようだった。



「とりあえず、行くか。
翔は後で病院行けよ?」

「うるせぇ、ほっときゃ治る。」


心配する海にぶっきらぼうに返す翔。
海は慣れているのか気はしない。
帝は溜め息を吐き、慧は無表情。
薫は無関心のようだった。


そして、この五人が揃うと周りはほぅっと息を吐く。

五人の放つ威圧感に誰も近寄ろうとするものはいないが、五人の美しい顔を遠くから見つめて皆が頬を染めるのであった。