「そろそろ、Gameが始まるよ。」

『…その様ですね。』


急に真面目な顔つきにかわった理事長。
華楠はそれを見て苦笑した。



『お父様達も言っていました。
〈Gameが始まる、お前の幸せの為の、Gameが。〉って。』

「そうかい。
まぁ、らしいっちゃらしいかな。
Gameのルールは覚えてるかい?」


クスクス笑う理事長。
華楠は涙目になり、理事長を睨んだ。


『私、本当にするなんて思っても見ませんでしたよぉ…っ!
婚約者なんて、私には…!』

「まぁまぁ。
華楠ちゃんの事を一番に考えてるから、そこまで心配する事ないよ?」

『でもっ…』


狼狽える華楠を手で制し、理事長は楽しそうに口を開いた。



「ルールは簡単だ。
全てを決めるクイーンの駒が一つ。
私の白のナイトの駒が五つ。
君の両親の黒のナイトの駒も五つ。

クイーンとナイトはお互いを知らない。
だが、存在がある事は知っている。

ナイトはクイーンを捜し求め、クイーンは自分だけのキングを探す。

クイーンの選んだキングが白のナイトの一人なら私の勝ち。
黒のナイトの一人なら君の両親の勝ち。

簡単なルールだろう?」


『…人を駒呼ばわりして自分達の賭事にするんですねっ。』


ぷぃっと外方を向いてしまった華楠。
理事長は参ったな、と頭を掻いた。