「華楠ちゃん!」

『失礼します。』


放課後、華楠は理事長室を訪れていた。



「ゴメンね、また呼び出して。」

『いえ、お気遣いなく。』

「まぁ座ってよ。
紅茶で良かったね?」

『あ、すみません。』


理事長が専用の台所に行くのを見届けて真ん中にあるソファーに座る。
暫らくすると良い香りとともに理事長がマグカップを持って現れた。



「どうぞ。」

『いただきます。』


理事長から紅茶を受け取り、フーフーと冷ます華楠。
その曇った眼鏡を見て理事長が笑った。



「眼鏡、取ったらどうだい?
今日はもう誰も来ないよ。」

『…そうですね。』


華楠は頷き、眼鏡を外してカタンと机に置いた。



「うん、相変わらず可愛いね!」

『お、叔父様っ!
そんな事ないですよ!』

ぐりぐりと華楠の頭を撫でる理事長。
華楠は顔を赤くしてわたわたと慌てた。