「…こんにちは。」

『ッ!!!
…こ、こんにちは。』


翌日、昼。
華楠は一人、静かに屋上で昼食をとっていた。

すると、横からひょっこりと馨が現れた。

普段はまったく人が来ないため華楠の肩は跳ね、驚き、叫びそうになったがなんとかそれを殺し、静かに挨拶を返した。



「一人なの…?」

『はい。
お昼は静かにとりたいので。』


なんて、嘘だ。

華楠は男女共に人気の由香と一緒にいると由香にも迷惑が掛かると思い、昼食だけでも、と由香から離れる様にしている。

ホントは、寂しいけど…。
って、この人誰だろ…?



「…ここ、いい?」


馨は棒のように立っていたが、もぐもぐと口を動かす華楠の正面を指差し、言った。
華楠は内心男の人に怯えながらも平然を装い『どうぞ。』と了承を出した。
断るのすらも怖かったからである。