駅のホームで興味有りげに自分の前を通る女の子達を観察している男がいました。


その男の名は風間 海。


見られている女の子達も照れ臭そうに頬を染めながら海を盗み見る。

海は深く帽子を被り自分の目は見られないようにして自分の友人を待っていた。

だが、見ている内にド派手なお洒落をした女の子達に囲まれて遊びに誘われてしまった。


「ありゃ〜。
残念だけど、今は友達を待ってんだよね。」


ゴメンね、と彼女達を諦めさせ、ふと辺りを見渡したときに一人、黒髪の可愛らしい女の子が海の目にとまる。

海は時が止まったかのようにその子に魅入った。


「あ…!」


話し掛けよう、と気付いた時には彼女は不安げに瞳を揺らしながら人混みの中に紛れてしまった。


海はやりきれない気持ちを胸に、ただ彼女の消えてしまった方を見つめていた。