「この変態親父っ…!」
「ぎゃあああああああセクハラよおおおおおおおおおお!!!」
「ロリコン…!」
帝が怒った顔で、海が混乱した顔で、翔が引いた顔で。
だが馨、慧は華楠に触れた部分にギュッと力を込めるだけだった。
「最近仕事頼み過ぎてたし、退院したばっかりだからね。
お休みの意味と華楠ちゃんにもサプライズの意味を込めて内緒にしてたんだ…
ごめんね、不安にさせちゃって」
『…っ、私こそ、すみません…』
キュッとスーツの裾を握る華楠に理事長はデレデレ。
馨と慧は隣にいたことで華楠の動揺が伝わっていたため、何も言わなかったのだ。
「ふふ、可愛いねぇホントに。
馨くん、慧くん、華楠ちゃんよろしくね?」
「わかってる…」
「…」
理事長は小さく頷いた二人の頭を撫で、華楠を離して喚く二人と完全に引いている一人をデコピンしてから扉に向かった。
「い、いた…!」
「じゃあ僕はこれから外で会議があるから出るね、彼らのことと学園のこと頼んだよ?」
笑顔で手を振りバタン、と扉が閉まった。
全員が扉の方を見ていると由香の時のように理事長がひょこっと顔をだし、
「前話したこと覚えてるよね?
彼ら五人はその鍵になるよ、じゃあ頑張ってね!」
今度こそバタン、と扉が閉まり、全員が首を捻った。
前、話したこと…
キングとクイーン、ナイトの話?
お父様の学園の五人組、ってことは、まさかあの五人がお父様側のナイト…?
前、話したこと…
あ、魅惑☆ladyとか言ってたやつかな?
すっかり忘れてた…
あいつらが関係してるってことは、あいつらと近い関係の女…?
それって、あの幼なじみの由香って奴…か?
とびきりの美人というわけではないが、人気もある由香ということで五人の頭は纏まったようだ。

