「今日からお世話になります、三ノ輪男子高等学園生徒会です。
一ヶ月と限られた時間ですが、有意義な時間を過ごしたいと思いますのでよろしくお願い致します」


大きな体育館に広がる歓迎な拍手。
華楠の横でそれを見ていた由香が興奮した様子でバンバンと強い力で華楠の背を叩く。



「ちょ、ちょ、華楠!
幼なじみ五人組じゃん、知ってたの!?」

『っ、ストップ、痛いです…』

「あ、ごめん…
で、どうなのよ!」


目を爛々と輝かせる由香に苦笑する。
由香も小学校からの付き合いなので、五人のことはもちろん知っていた。


『今朝、しんちゃんに偶然会って私もその時に初めて知りたした』

「へえ、理事長珍しく華楠にも言ってなかったんだぁ。
てか三ノ輪って華楠のお母さんの旧姓でやってる男子校だよね?」

『ですね、お父様からも何も聞いていないんですが…』


首を傾げる華楠にニヤニヤといやらしい笑みが止まらない由香。


『…顔が緩んでますよ?』
「だーって、こんな嬉しいことないじゃない!
あの幼なじみ達があんなイケメンに育ってるのよ!?
男子校育ちってことで女慣れしていないあいつらに頼られる私…!
イケメンにちやほやされる私…!
あぁ、夢のよう!」


熱く語った後にうっとりとした表情で壇上を見上げた由香。
くるりと華楠に顔を向けたときの表情は真剣だった。