何故だろう。
何故私はまたこの車に乗っているんだろう。

帝の車に乗せられて、華楠は心の中で自問自答を繰り返していた。


「結城さん?
元気が無いけど、どこか痛むのかい?」

『いえ、大丈夫です』

「嘘。
歩くの辛いでしょ、少し不自然だった」


ばれていた。
華楠は諦めたようにはぁ、とため息を吐いた。
正直言えば、歩くのは少し辛い。
だからこそそれを考えて早めに家を出た華楠だったが、帝に捕まったのだ。



「…ごめんね、怪我させて」

『え?』

「俺だよね、まず結城さんが目を付けられたのは理由。
あんな堂々と迎えに行ってたから、当たり前といえばそうなんだけど」


帝は少し寂しそうに微笑みながら華楠を見つめる。
華楠は不覚にも、帝に見惚れた。
すると…ニヤッと、帝の口角が嫌な上がり方をした。