「なんか逃げ腰で怯えてるっぽかったし…
医者がなんか、近かったしエロいっつぅか…妖しかったからな」

「近くて…エロい?」


翔が気付いた時には遅かった。
海は額に血管を浮き上がらせ、拳を堅く握って鋭く目を釣り上げていた。



「そんな医者を雇うなんて親父も堕ちたもんだなぁ…
上司が上司なら部下も部下って事かよ」

「お前、口調変わってっぞ…?」

「…はぁ。
学校では帝を見習っていい子にしてるんだけどなぁ」

「帝は素が黒過ぎだろうが。
…じゃなくて、医者の事だよ。
どっかで見た事あるような面だったんだが」

「…知らないよ」


もう医者に興味も失せ、どこか肩を落としている海に苦笑する翔。


「はぁ…もういいや。
戻ろっか、折角結城ちゃんと翔も和解出来たんだしね」

「…そうだな」