「…とにかく、未来と仲良くなったのがお前で良かった」

『え?』

「ギャルとかだったらだりぃしな。
未来にも悪影響だろ」


早口に言い切り、目を逸らして水を飲む翔に華楠はまた笑った。
素直じゃないだけで、やっぱりいい人だ。


「…今は焦ったりとかしてねぇから、俺の言ったこととか忘れてこれからも未来と遊んでやってくれよ、な」

『…はいっ、勿論です。』


嬉しそうに笑う華楠に、翔もつられて笑う。
それからハッとしたように顔を引き締めた。



「…あのよ、お前昨日、虐められてたじゃねぇか」

『え…あぁ、そうですね』

「そうですねって、他人事か?」

『いえ、そういうわけじゃありませんが…』


呆れたように言う翔に華楠は苦笑で答える。
もう、忘れたかったのだ。無かった事にしたかった、あの、恐怖を。