「…華楠ちゃんに、そんな事が」


あの後、泣き付かれて眠ってしまった華楠を病院へ運ぶと骨などに異状はなかったが、制服で見えないところに酷い痣などが多数発見され一時入院となった。

華楠を見たのは運ばれた風間病院の医院長…海の父親だった。
医院長は海達から怪我の理由を聞くと念のためと言って理事長に連絡したため、未だ治療を受けていていない華楠の病室には一足先に帝、海、馨、慧の四人と由香、そして理事長がいた。



「あ、あの!」


突き刺さるような沈黙の中、一番その場に居づらい由香が声を上げた。


「み、皆さんは、華楠とどういう関係なんですか?
助けてくれてたみたいですけど、えっと、まだいるし…」


最後にチラッと慧に向けて熱い視線を送った由香に、慧が華楠の言っていた言葉を思い出す。

《…ただ、私のたった一人の友達がcharm・voiceさんのファンなので、知られたら凄い事になるだろうな…と、思いまして…》

あぁ、この女の事か。
慧は心の中で一人納得したが声には出さない。
そんな由香の疑問には帝が答えた。



「友達、かな。
理事長の手伝いをしているところでたまたま会ってね。
それから理事長からの呼び出しなんかは僕が伝えるような形が多くなって話す事も増えたんだ。」