「なぁ、今日機嫌悪くね?
お前がいないと女子集まらねぇんだから頼むぜ?」

「るっせぇな、わかってる。」

「今日はここら辺でも有名な可愛い子来るからさ、食っちゃって良いぜ!
夜は空いてるとか言ってるらしいし!」


ニヒヒ、と厭らしく笑う男と不機嫌な男…。
二人は夜なのに人工的な明るさと怪しい雰囲気に包まれた繁華街に来ていた。



「キャーッ!
本当に来たんじゃん、翔!」


一つのクラブに入れば、甲高い女たちの興奮した声が響く。
不機嫌な男…翔は慣れたようにそれらをすり抜け、カウンターに腰をおろした。



「いつもの、くれ。」

「はいよ、モスコミュール辛口で、だね。」


翔が言うとバーテンダーの若い男は笑いながら言う。
翔もあぁ、と今晩初めての笑顔を見せた。