ある所に、一際目立つ美しい顔の男がいました。


その男の名は成澤 帝。


その顔は誰もが認める美形。
整った顔は注目の的であった。
そして、注目されている理由はもう一つ。

大財閥の息子で、大富豪なのだ。

テレビにも出ているため顔もバレ、有名になっている。



帝は友人との約束の場所に向かうため、慣れない電車に乗ろうとしていた。


「ここを、降りるのか…」


薄い茶色の髪をサラサラとなびかせながら携帯のマップと睨めっこ。

だが機械音痴な彼は人に聞こうと思いパチンと携帯を閉じて辺りを見渡す。


「!」


その時、彼の目に入ったのは艶やかなゆる巻きの長い黒髪をふわふわと揺らしながら不安そうにキョロキョロと辺りを見回している一人の可愛らしい女の子だった。

花柄のワンピースを揺らしながら帝の前を過る。

帝は話し掛ける事も出来ず、ただ見惚れていた。