さてさて更に一方。
親衛隊の隊長のこと柳と副隊長のこと高間は、作戦成功だとばかりに心中で勝利の握り拳を作っていた。
涙を呑みながら豊福空の学校生活を見張っていただけあった。
彼が愛しのアイドルとキスしたり、押したされたり、あれやこれやそれやをされているのを陰からこっそり見ていたあの時の地獄と言ったらもう。
廃人になり掛けるは、毎日が号泣だわ、やきもきするは、コンチクショウだわ。
とにもかくにも、キリキリ痛む胃を薬で宥めながら彼を見張っていた甲斐があった!
豊福空が学校生活で高所恐怖症だと知った自分達親衛隊は作戦を立てた。
二人の仲を裂くような作戦を立てた。
その名もズバリ
『彼女の前で情けない姿を曝け出しちゃいましょう作戦』
彼女ある我等が愛しのアイドルの前で豊福空が高所恐怖症という情けない姿を見せる。
アイドルは呆れる、また失望する。
もしくは豊福空が居た堪れなくて彼女の傍にいられなくなる。
二人の恋人生命は自然と終止符を打たれる方向へ流れる。
完璧(パーフェクト)な作戦だ。
「隊長……我々……頑張って見張った甲斐がありましたね」
「ああ。見ろ、高間。豊福空は高さに参っているようだ」
一歩も動けていない空の姿に二人はまた感涙。
徹底的に彼を調べ上げて良かった。
二人のイチャイチャを泣きながら指を銜えて見守って良かった。
この努力、必ず報われると思っていた。
親衛隊隊長と副隊長は暑苦しく歓喜の涙を流し続けていた。



