高間先輩は地団太を踏んでキィキィ喚き始めた。
「よしよし」
癇癪を起こしている高間先輩を柳先輩が優しく宥めている。
その余所で鈴理先輩は俺の腰を引き寄せてニッコリ。
攻めモードになっているその笑顔が恐ろしいのなんのって。
「空、先ほどの発言は健全的なセックスから始めるって意味の発言だよな? まさかあたしとシたくないわけじゃ」
「おぉおお俺は言ったじゃないっすか! まずは健全的、あー……プラトニックラブから始めましょうって! スるシないの前にお互いの気持ちを尊重ッ、腰撫でてもらうの止めてもらっていっすか?」
やらしいっす。
撫でてくる手がやらしいっす。
尾てい骨辺りがぞわぞわっするっす。
しかも親衛隊から殺意の籠められた眼差しが飛んでくるので、ほんと勘弁して欲しい。
俺はどうにか先輩の手から逃れて(先輩から盛大な舌打ちを鳴らされた)、携帯を返してくれるよう頼んだ。
相応しいかどうか俺を試すとか、相応しくない男だとか言われる前に盗まれた携帯は是非とも返して欲しい。
あれは先輩から貸してもらった大切な携帯。
壊すわけにも、疵付けるわけにもいかないんだ。
そしたら俺を射殺しそうに睨んでいた親衛隊隊長の柳先輩がゴッホンと咳払いをして言う。「簡単に返すわけにはいかない」
「あれは君を試すための道具として使わせてもらう」
「そ、そんな困るっす! あれは大事な物っす! 俺のじゃないんっすよ!」
大焦りの俺に対し、柳先輩は涼しげな顔を作るばかりだった。
「それも知っている。あれは鈴理さんから借りた物だろ? だからこそ君を試す道具として使わせてもらうのだ」
ドヤ顔で言う柳先輩だけど、
「ほお? 誰の許可を得てだ?」
黙っちゃいないあたし様が眉をつり上げた。
「あれはあたしが空に貸したものであって、あんた達に貸した覚えはない。いいか、あんた達。空のものはあたしのものであるが、あたしのものは勿論あたしのものだ。それを弁えての行為か? だというのならば、これは無礼講にあたると思うが」
「え、いや、その」
「あたしは許可をした憶えはない。空に貸した携帯を返してもらおうか」



