途方に暮れていた俺は、取り敢えず抱擁している二人にそっと手紙を差し出した。
嘘は言っちゃないんだ。
自分達の目で真実を見てもらわないと。
ズビーッ、グッズン。
洟を啜って涙を拭いている高間先輩にバシッと手紙を取り上げられた。
なんて態度だよ。
ほんともう、こっちは被害者なのに。ヤーな態度、ヤーな奴。
手紙に目を通した高間先輩はつり上がっている片眉を更につり上げる、かと思えば、一変。思いっ切り血相を変えた。
「これは訂正前の手紙じゃないか!」
ブンブンと手紙を他の親衛隊隊員に見せ付けて怒鳴り散らしている。
すると一年らしき隊員が数人、すみませんでした! 高間先輩に頭を下げていた。
どうやらあの手紙は書き直す前のヤツで、ちょっとした手違いで中身が摩り替わったらしい。
よくよく1年の隊員を見ると、俺のクラスの奴が2、3人交じっていた。
ってことはあいつ等が俺の鞄から携帯を盗ったってことだよな。
だけど向こうは謝る気なんてサラサラ無いようだ。
盛大な咳払いをして各々涙を拭いている。
「失礼しました」
何故か俺じゃなく、隊長と副隊長は鈴理先輩に頭を下げた。ま、いいんだけどさ。
「改めて私は三年B組柳 信幸だ。『鈴理さまお守り隊』の親衛隊隊長をしている。豊福空、君を呼び出したのは他でもない。鈴理さんに相応しい男か見極めるためだ!」
ビシッと俺を指差してくる柳先輩に俺はゲンナリした。
なんか面倒なことになりそうだな、おい。
柳先輩はゲンナリしている俺に構わず、熱を入れて語りを始める。
「我々『鈴理さまお守り隊』は去年の夏に出来上がった親衛隊だ。鈴理さんという可憐な女神に我々一同は骨の髄から惚れ込んだ。いや惚れ込むなんて品の無い言葉だな。心を奪われた。うん、これが良い。
とにもかくにも我々一同は竹之内鈴理さんという心を奪われた! 彼女は女神でありアイドルであり天使だ! ビューティフルスターだ! 崇拝するしかないと思った! できることなら鈴理さんに踏まれたいと思った! だろ? 皆の衆!」



