「そーら!」
名前を呼ぶと同時にギュッと抱きついてくるものだから、俺はプチパニック。
こういう時、俺はどうすれば! 抱き締め返す? 押し返す? ああっ、くっそう、何も出来ない俺のドヘタレ! 受け身男! 根性なし!
「好きだ、空。覚悟しろよ、本気で落としてやるから」
耳元でボソッと呟かれた言葉に俺は赤面。
なんっつーの、こういう状況。腰が砕けたっつーの?
駄目だ、先輩が男前、じゃない女前過ぎて俺、自分が男かどうか性別に疑問が出てきたよ。
言葉に赤面する俺って、ほんと超女々しい。
嫌だー、俺も男前になりたい。
視線を合わせれば、自然に顔を近付けてくる鈴理先輩の姿。
極自然にキスをしてくる先輩は本当に女前だ。
完全にリードされている。
何をどうすればいいのか分からず、結局流されている俺はそれを受け入れるしかなくて。
だけど今までと違うのは、抵抗しなくなったってこと。
だって決めたから。
もう理由を付けて逃げないって。
相手がどんなに肉食系攻撃型女子だとしても、俺から付き合いの話を出したんだ。
逃げるっておかしいじゃないか。此処だけでも男を見せたい。
絡んでこようとする舌から逃げるのではなく、恐々ながらも自ら触れてみる。
意を酌んだ先輩がゆるりと舌を伸ばす。
鼻を通り抜ける呼吸を合図に、その舌が悪戯げに人の舌の根元を擽ってくる。
体が大袈裟に震える。
感度のツボを突いたようだ。
いつもより長い深いキスは、何もかも初めてな俺にとって溺れる原因。
そろそろ息が続かない。
がっつりとキス深めるのはいいけれど、いつまでこれをするつもりだろう。
なんか、やばい。
苦しいにプラス、快感と妙な気持ちが出てきている。絶対にやばいから!
俺だって一応、思春期真っ只中の男の子! これ以上は危険! ストップ暴走本能! 清く正しく誠実に生きましょう!
さすがに苦しいと先輩の肩に手を置いて訴えるんだけど、まるでそれを見計らったかのように彼女は更なる深いキスをしてくる。



