「やはりこの態勢は気に食わん」
言うなり、腕を解いて俺の片手を手に取り、片手を腰に伸ばし……ちょ、そのパターンはまさか。まさか!
嫌な予感を感じる間もなく先輩は俺の腰に片手を回して、取った手を口元に当てた。
「やっぱりこれがしっくりくるぞ。攻め女たる者、男のポジションをぶんどることが一つの運命。あんな女々しい告白があろうか」
ほらぁ。きたよ。
先輩の大好きな、男女逆転ポジション。これが俺的に萌えるか? 燃えるか? 嬉しいか?
勿論、嬉しいし萌え燃える……ンなわけないでしょーが。
俺的に逆転ポジションの逆を望むよ。
傍から見ても目に毒な光景だって。
「勘弁して下さい!」
身を捩って先輩の腕から逃げ出そうとするんだけど、
「照れるな」
先輩は俺の反応を可笑しそうに笑うだけ。
あーチックショウ、俺だって男だろ。
隙を突いて先輩の唇を奪う反撃くらいしてもいいだろ。
ただ実際やろうかと考えた時、俺の中でブレーキが掛かっちまう。
そんな度胸は無い。
胆不敵なことができたら今頃、俺は鈴理先輩を押し倒せている。
ははっ、目前にいる肉食獣を押し倒すことなんて、俺には到底できないことだけどさ!
そんなことしたら、俺、逆に押し倒される。食われちまう。
嗚呼、俺の馬鹿、このヘタレ、受け身男! 男おんな!
心中で自分に罵声を浴びせていたら、
「気持ちが伝わるまで空に伝えるから」
爛々と目を輝かせて俺を見つめてくる鈴理先輩がそこにはいた。
その目がすげぇ恐いんっすけど。



