なんで動揺したかと聞かれるとそりゃ、カマかけられた内容が内容なわけで。少しならず意識をしちゃっているわけで。
じゃあ好きか嫌いか聞かれたら、まだはっきりとは分からないわけであががが。ワケが分からなくなってきたぞ。
ひとつだけはっきりと言えるのは、俺はかなり先輩を意識している。
脳内で大だいパニックを起こす俺の手を取り、鈴理先輩はポケットからハンカチを取り出してイチゴミルクオレで濡れた俺の手を拭きながら言葉を続ける。
「しかし受けた告白であたしはあることに気付いた。あたしは空に伝わるような告白が足りなかった、と。あたしを好きだと言ってくれた奴は十二分にあたしが好きだってことが分かる告白内容だった。
比べて、あたしは告白内容と気持ちが不足していたようだ。
あたしなりに告白をしていたつもりなんだがな、今日の昼休み、空が身分その他諸々を口にしたものだから……言葉と気持ちが不十分だったために空を不安にさせていたのだな」
「いや、その不安っつーか。なんっつーか」
不安というか、妥当な意見を口にしただけだと思うんだけど。
身分とか、容姿とか、釣り合わないとか、全部本当のことだし。
でも語りに立っている先輩の表情を盗み見たら、やけに罪悪感。
だってションボリと落ち込んでいるみたいだから。
もしかして俺があんなことを言ったから、先輩を不安にさせちゃったんじゃ……俺ばっかりじゃないんだよな。
きっと俺のことを好きだと言ってくれる先輩だって、少しならず恋煩いを抱いている。
相手は貧乏少年だけど、先輩はこうも真剣に想ってくれているんだ。
伝え方はちょっと物騒で過激だけどさ。
俺はいつも先輩から逃げていたけれど、逃げることで先輩を不安にさせていたのかもしれない。
「不安にさせて悪かったな」
男、じゃない女前に謝罪してくる先輩に俺はそんなことないと首を横に振った。
それでも先輩は詫びを重ねる。
「ちゃんとあんたをあたしの所有物だと伝えないばかりに、あんたを不安に。竹之内鈴理、一生の不覚だ。もっと大々的に伝えれば不安をさせずに済んだというのに」
それはちょっと。
所有物呼ばわりはちょっと。
何か間違っている。とんでも方向に間違っている。
「先輩……もしかして所有物呼ばわりも告白のつもりだったんじゃ」
何を今更、鈴理先輩はやや不機嫌な顔を作る。



