担架で運ばれる俺は隊の人に連れられ、先輩と一緒に雑木林を抜けて道路に出る。
ちょっとだけ意識が朦朧としてきたけど、道路の光景を目にした俺はそれさえ忘れて大きく見開く。
そこで目の当たりにしたのは真っ赤な光、レッドランプだらけ。パトカーに救急車にその他諸々なんだかてんやわんやになっている。
相当な騒動になっていたようだ。
先輩が攫われたからってのも一理入っているんだと思う。
なんたって先輩は竹之内財閥の三女だからな。
「来た。鈴理っ、豊福!」
道路に出てきた俺達に逸早く気付き、駆け寄って来たのはなんと大雅先輩。なんで貴方様がこんなところに……。
車輪つきのストレッチャーに移されながら首を傾げる。
隊の人はすぐ俺を救急車に乗せたかったみたいだけど、ちょっとタンマをしてもらった。
彼は美形も台無しな泣き笑い顔で、
「心配掛けさせやがって!」
俺と先輩に毒づき、無事だったかどうかを確認。
無事を確認すると、良かったと息をついてまず先輩とかたく抱擁を交わしていた。
普段だったら絶対拒絶するであろう彼女も、「ごめんごめんっ」心配掛けたことを謝罪して抱擁を返していた。
「鈴理。俺は勿論、お前の御家族もっ、スッゲェ心配していたんだからな。そこでっ、ほら」
ある一点を指差す大雅先輩、向こうには確かに鈴理先輩のご両親の姿が。
彼女を見るや否や、お母さんの方が安堵し切って大号泣。その場に崩れて泣いていた。
お父さんも目が潤んでいる。
近くには竹光さんとお松さんの姿も。二人とも三女の無事に涙していた。
ああ……皆、すっごい心配していたんだな、彼女のことを。
期待感とか疎外感とかで悩んでいた彼女のことを、すごく心配していたんだな。
やっぱりご両親は先輩のことを愛しているんだよ。
擦れ違っているだけできっと家族を思う気持ちは双方同じなんじゃないかな。
「行って来い」
大雅先輩が彼女の背中を押した。
ぎこちなく一歩前に出る鈴理先輩に、「行って下さい」俺も背中を後押ししてやる。
「俺は大丈夫ですから」
言葉を掛けると「すぐ戻るから」そう言って家族の下に駆け出した。



