前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―



向こうでは一斉に警察が動いていた。

半分は犯人確保へ。半分は各々人質の下へ。


あのオッサンは発砲した直後、隙を突いた警察に取り押さえられたようだ。

意味不明な言動を吐きながら、手足をばたつかせている。


頭を押さえつけられている姿は、哀れとしか感想が出ない。


どんなに威張っていても、力で脅そうとしても、結末があれじゃあ惨めもいいところ。


明日の朝刊にでも本名が出て、独房行きなのだろう。社会復帰する頃にはいいおじいさんかも。



一方、レスキュー隊を含んだ警察は俺達の下に。

重たそうな機械を抱えてやってくる隊は撃たれた俺の右腕を取り、傷口の具合を診て止血。


次いで脈を測り始めた。

異常に脈が速いらしい。

脈の速さうんぬんかんぬんが体にどんな影響をもたらすかは知らないけど、あんま芳しい状態ではないとか。

頭部や体を強打しているから検査が必要だ、隊の人がそんなことを言っていた。


「君、動かすよ。僕の声が聞こえているかい?」


やや声音を張ってくる隊員に頷く。

担架に載せられる体は、本当に悲鳴を上げていて、微動にすら痛みを覚えた。


軽く応急処置をされている間、隊から話を聞くことに成功する。

曰く、さっき崖の上から聞こえてきた銃声の数々は俺達に発砲していたわけじゃなく、誘拐犯と捕まえに来た警察達とドンパチしていたらしい。


なんでもGPS機能で俺達の居場所を突き止めていた警察は、周辺でずっと待機していたとか。

隙をみて俺等を奪還しようとしてくれていたらしい。

GPSを通しながら、念入りにどう奪還しようか打ち合わせしていたところ、前触れもなしに俺達に動きがあって出動が決まったそうだ。


俺達の行動は無駄じゃなかったわけだ。

逃げ出したおかげで早期奪還に繋がったんだから。


警察は二手に別れ、一手は俺達の保護。一手は犯人逮捕に動いていたという。


俺達が崖から落ちた直後、一手は誘拐犯を見つけ出し、奴等を追い駆け回していたそうな。

リーダーを除くお仲間はすぐ捕まったそうだけど、犯人だけ崖から下りてしまい、俺達の下にやって来た。


後は説明を聞くまでもない。