「うむ、美味」
笑顔を作る鈴理先輩は俺を探していたことを伝えてきた。
どうしても話したい事があるから、意味深に言う先輩に俺は一抹の不安を覚えた。
どうしても話したいってことは重要な話だよな。
「空、先程な。上級生に告白された」
「へっ?」
激しく動揺。
持っていたイチゴミルクオレのパックがグシャッと潰れ、中身がパックの外に飛び出る。
手がイチゴミルオレで濡れるけど、動揺の方が勝った。
だってさ、毎日追い駆け回されていた肉食お嬢様に、いきなり上級生に告白されちまったなんて言われてみ? 誰だって動揺するって。
ということは、あれか、あれだよな。あれ。心変わりしました。
上級生と付き合いますって報告だよな? だよなぁ。
俺の家貧乏だし一般人だし、先輩金持ちだし令嬢だし、だけどなんでこんなに動揺……俺、思った以上に先輩のこと意識していたのか?
「当然告白はー」
「う、受けたっすよね? そうっすよね。先輩、美人ですし、相手もきっと」
すると彼女は、俺の反応にどことなく嬉しそうにはにかんだ。
「何を言う。断ったに決まっているだろ。告白してきたヤツはあたしとまったく合わない。まずあたしの求めている草食系男ではない。それに好きなヤツがいるからな。
まあ、あたしの好きなヤツは今まであたしに無関心かと思っていたが、それは杞憂だったようだ。
どうやらあたしの好きなヤツもあたしに何か想う点があるらしい。あたしが見る限り、脈がありそうだ」
鈴理先輩は意地悪くクイッと口角をつり上げた。
「えー……と」
動揺していた俺は冷静を取り戻すべく、ぎこちない動きで視線を落とした。
自分の手中におさまっている潰れた紙パック、それがどういった意味合いを持っているのか気付き、俺は大パニック。
あ、あ、ありねぇ!
この人、俺にカマかけてきやがったよ!
いや、これは動揺したのは俺が悪い。先輩にカマかけられたとはいえ、動揺した俺が悪い。
……イチゴミルクオレ……勿体ねぇ。



