小さな動きがスキンヘッドオッサンに多大な刺激を与えたんだろう。
逃げられないと知りつつも、必死に抵抗しようとしていたその昂ぶる感情は爆ぜ、躊躇なくトリガーを引いて俺に発砲。
そのコンマ単位秒前。
彼氏の危機に気付いた鈴理先輩が、無理やり拘束の腕から抜け出すため、オッサンの体を力いっぱい突き飛ばす。
よって軌道が逸れ、銃弾が俺の足元へ。
「くそアマ!」
傾いた体を持ちなおしたオッサンは、標的を彼女に変更する。
そうはさせない。
「先輩に手を出すんじゃねえ!」
俺はほぼ反射的に地を蹴ると、持っていた太い木枝を相手の顔面に向かって全力投球。
幼稚な投てき技は、回転しながら相手の顔面に直撃した。
不意打ちに、スキンヘッドオッサンもこれまた本能という名の自己防衛が働いて、顔面の中でいっちゃん柔らかい場所を守ろうと瞼のシャッターが下ろされる。
後は無我夢中だった。
ぶれぶれの視界を振り切り、「空!」男の腕から逃げ出した鈴理先輩の下へ。
彼女は誰にも渡さない。
その可愛い体躯を腕に閉じ込めるのも、そして華奢な腕で閉じ込められるのも、俺の特権だ。
押し倒す勢いで小さな体躯を抱きしめる、同時に銃口が火を噴いた。
直線状を描く弾丸が肉体を貫いていく。
その感触に気付く前に限界に達していた俺の体は、彼女を巻き込んで力なくその場に崩れた。
垣間見えたのは鈴理先輩の真ん丸と見開いた眼、美味しそうな唇に、重力に従って靡く柔らかな髪。



