瞠目してしまった。
発砲したのはスキンヘッドオッサンではなく、第三者からによるもの。
ぎらついている向こう側を見やれば、眼球を刺す無数の眩しい光。
正体は巨大なライト、よくドラマの撮影の時に用いられそうなでっかいライトだ。
「ここまでだ。少年少女を解放しろ」
真昼のように明るくなるその場をグルッと囲むように、見知らぬ大人達が出現する。
動くなと誰かが声音を張り、銃口をスキンヘッドオッサンに向けていた。
警察のようだ。複数の警察が一斉に、銃口をオッサンに向けている。
もしかしてオッサンが焦っていたのはこのせいか?
警察に見つかっちまったから、血眼になって俺達を探していたのか?
「ハッ、これが見えねぇってか?」
人質となっている先輩の頭に銃を押し付けるスキンヘッドオッサンは、ちょっとでもお前等が動いたら撃つと勝気に脅す。
見え見えの虚勢には声の震えが宿っていた。
余裕はなさそうだ。
警察に囲まれちゃ余裕の「よ」も失くすだろう。
「人質はこいつだけじゃない」
輩が顎で俺をしゃくってくる。
スキンヘッドオッサンは俺にとって彼女が(んでもって彼女にとって俺が)どういう存在か、十二分に把握しているから、
「こいつの頭に風穴をあけられたくなかったらこっちに来い」
と俺に脅しを仕掛けてくる。
人質は多い方がそっちにとって有利だもんな。ああくそ。
俺は無理やり上体を起こす。
その際、さっき抜いた木枝が視界に入ったから気付かれないよう手を忍ばせた。
ふらっと立ち上がって、荒呼吸のまま俺は一歩また一歩誘拐犯に歩んだ。
途中何度か転びそうになったけど、あんまり向こうに焦らしプレイしても、痺れを切らして銃をぶっ放すかもしれない。
相手が切れる前にさっさと歩くことが得策だろう。
思うように動けない警察と、逃げる隙を窺っている先輩、挙動不審気味の犯人、そして木枝を握り締める俺。
四者四様の光景はまさしく修羅場というべき言葉がピッタリだ。
ふと向こう側で警察が人質救出のために隠れて動こうとする。
遺憾な事に神経をピリピリさせていたスキンヘッドオッサンに気付かれてしまった。
「動くなっつってるだろうが!」
自分の本気を見せ付けるために銃口を俺に向けてくる。



