頭を強打したせいか?
そういえば今日二回も強打したっけ。
内、一回は誘拐犯に容赦なく殴られた。
馬鹿になったらどうしてくれるんだろう。
これでも生活が掛かった特待生なんだぞ。
ズザザザザザッ――そんな擬音がピッタリの雑音が聞こえた。
びくりと彼女の体が跳ねる。連動して俺の体も跳ねた。
ゆっくりと視線を上げれば、もうやだ、スキンヘッドオッサン……超しつこい。わざわざ下りてきたとかお馬鹿。究極のKY。シチュエーションに萎える。泣きたいくらい萎えるシチュエーション乙。
お仲間はどこへやら。
どことなく焦ったような顔を作るスキンヘッドオッサンは視線を上げて崖を睨んだ後、迷うことなく俺等に視線を投げた。
ギュッと彼女が相手を睨んだまま俺の頭を抱き締めてくる。
舌を鳴らすスキンヘッドオッサンは、「来い」銃口を俺等に向けたまま歩んできた。
嫌だと首を振る鈴理先輩と、荒呼吸を繰り返す無言の俺。
苛立ちを覚えたのだろう。足元ギリギリに発砲してくる。
それでも動かないガキを見たスキンヘッドオッサンは、どっちが適した人質か分かったんだろう。
体が崩れる俺に対し、彼女の体が向こうへ引かれる。
「先輩に触るな」
口だけは一丁前に元気なものだから、その場に崩れ、それこそうつ伏せ状態になっても相手に悪態を吐く。
体を起こそうともがき苦しむ姿は、ダサイこと極まりないに違いない。
「彼女を離せハゲ。汚い手で触るんじゃねえよ」
普段の俺からは信じられないくらい生意気口で相手を睨む。
一々癇に障る奴だと銃口の照準を俺に合わせるスキンヘッドオッサンは、すぐ楽にしてやると安全レバーを下げた。
「っ、な、そ、空を撃つな! 空っ、逃げろ!」
先輩の懇願とオッサンの行動、どっちが早かっただろう。
あれ、これ、昼間のデジャヴ? 今度こそ俺は撃たれるのか? だとしても、先輩だけは、どうか先輩だけは。
――パンッ!
つんざく銃声、それから前触れもなしに真っ白になる視界。俺の意識がぶっ飛んだわけじゃなく、辺りが急に明るくなる。



