「落ちて逃げ道あると言うならお供します。怖い景色も先輩と一緒なら、どうにかなりそうな気がします。だって俺、高所恐怖症なのに見れたんですよ。たかいホテルの窓から見える綺麗な夜景を」
それに運命共同体って言ったじゃないっすか。
今の俺はヒーローなんですから、ヒロインといつでもどこでも一緒じゃないと。
「落ちるところまで落ちて来いと言ったのは貴方です。例え、この手を離しても後から俺は落ちるだけ――どうせ二人とも落ちるなら、俺と一緒に落ちましょう?」
高所に震えつつも俺は強がる。
だって強がらないと示しがつかない。
「この馬鹿」
先輩は我が儘のトンチンカンと毒づいてくれた。
光栄っすね。褒め言葉として受け止めておきます。
追っ手の気配を感じ、「いきますよ!」俺は声音を張ると左手を離して大好きな彼女と一気に斜面を滑り転げる。
落ちる際、小さな体躯を腕に閉じ込めた。
ちょっとでも彼女の衝撃が和らぐよう。
これは庇う、じゃない。守る、だ。
男として大好きな彼女を守りたい一心で腕に閉じ込める。
好きな女をひとり、守ることもできない男なんて男じゃない。
受け男と名乗る資格もない。
どんなにリード権を手放そうと、キスやセックスでどうこうされようと、お姫様抱っこで小っ恥ずかしい思いをしようと、率先して女を守りたいこの気持ち、これだけは譲っちゃいけないんだと思う。
いくら彼女が合気道をやっていようが、雄々しかろうが、攻め攻め女だろうが、彼女は女性。
根では孤独を抱えている、俺の大好きな女なんだよ。
精神的にいつも俺を守ってくれようとしていた彼女に、今度は体で俺が返す番。
全力で俺は彼女を守る、守るんだ。



