「銃声で八割方、奴等が飛んでくると思う。チャンスは一度きり。失敗は許されない。空、やるしかないぞ」
不安に煽られている場合でもないってわけね。
「了解っす先輩、その案に乗りましょう」
他に方法もないしな。
運命を共同にしましょう、と先に言ったのは俺だ。やるっきゃない。
深呼吸を一つし、俺はアリス服と鉄パイプを持つと急いで配置につく。
銃を構える先輩は俺に視線を流した。
準備の確認をしているのだろう。
うん、小さく頷くと、不意に彼女は安全レバーを下げてこう言う。
「空、何もかもが終わったらセックスさせろよ。超濃厚なヤツでやってやる」
「ええっ、それお約束できないっすよ。いつものように逃げてみせますから」
「あたしに食われたいと言ったくせに」
「それも恐々ながら本心ですけどね。俺は貴方のことが好きですから」
「そうか」「そうっす」いつもの会話を繰り広げて緊張を解した後、先輩がトリガーに指を引っ掛ける。
一瞬の静寂が俺達を包み、それを裂くようにガウンッ――銃声が室内に響き渡った。
ガウンッ、ガウンッ、連射する先輩は的確に窓ガラスを撃ち抜く。
殆どのガラスが衝撃で砕け散ったけど、念には念を入れて俺は鉄パイプで窓枠の残った硝子を砕く。
素早く移動し、アリス服を窓枠の下に被せると、俺は先に外へ出た。
その際、ズキッと腹部が痛む。
横っ腹に受けた打撲だ。
歯を食いしばり、根性で窓枠に足を掛けると建物の向こうへ。
鉄扉向こうから足音が聞こえた。お仲間の登場のご到着のようだ。
「急いで」
先輩に手を伸ばした。
しっかりと俺の手を掴んで窓枠に足を掛ける彼女は軽々と外に這い出る。
こうなれば後はただひたすら、二人で逃げるだけだ。
右も左も分からない土地を突っ切るように、俺達は駆け出した。
どうやら俺達は廃墟となった倉庫場に閉じ込められていたみたいだ。
しんと静まり返った倉庫場達が並列している。
そこから飛び出し、とにかく生い茂った雑木林の中を走った。走った。走りまくった。



