さてお次は窓から脱出する方法だ。
工具袋を積み重ねて窓を覗き込む。
此処は一階のようだ。
安堵する。高所だったらどうしようかと思った。
向こうには雑木林らしき光景が広がっている。
窓は錆びついているのか、引いても開きそうにない。
ちぇっ、此処が開けば外に出られるのに。
人ひとり分のゆとりはあるから、開けばどうにか出られる。
割ろうにもちょい厚めの硝子だから、上手く割れるかどうか。
もう一つ問題がある。
割った後、此処を素早く通ることができるだろうか。
破片で傷を負いかねない。
衣類を身に付けているとはいえ、硝子で体のどこかを、それこそ足を怪我してしまえば逃走の妨げになる。
覚悟するしかない、か。
「そうだ、空。いいものがあるぞ」
先輩が自分の通学鞄に駆け寄り、鞄の隣に置いてある紙袋を手に取ると、満面の笑顔でそれを見せ付けてくれた。
「おおっ」
俺はポンッと手を叩き、ナイスだと称賛する。
先輩が取り出したのは昼間、学校に持ち込んだあの忌まわしいアリス服だ。
ワンピースになっているそれなら、窓枠に残った破片や下に落ちた硝子片を覆うことができる。
可愛らしいアリス服には悪いけど、俺達が助かるためだ。犠牲になってもらおう。
あとは窓だな。
窓ガラスをどうやって割ろうか。
「うむ、仕方あるまい」
先輩が四隅に転がっていた銃を手に取る。
手馴れた手つきで弾を確認する彼女に、「え。まさか」俺はおずおずと質問。
それで硝子を破ろうなんていうんじゃ。
スチューデントがそんな物騒な物を扱うなんて、そんなそんな。
「安心しろ。海外にて射撃経験がある。幸い、銃弾は三発ほど残っているようだ」
ガキの頃ハワイで親父に習った。とか、その後に台詞がくっ付くんじゃ。
いや、馬鹿を言っている場合じゃない。
まじかよ、先輩。正気っすか。
目を白黒させている俺を余所に彼女は、作戦はこうだと矢継ぎ早に説明してくる。
まず自分が銃で窓を撃ち破る。
完全に撃ち破れなかった場合を想定して、俺は鉄パイプを準備。残りの硝子を砕き、アリス服を窓枠に被せて先に脱出。
先輩は後から脱出して二人でトンズラ。
以上。
大丈夫かよ、そんな作戦で。



